もくじ
近年増加する山岳遭難
警察庁の発表によると平成20年の山岳遭難について下記の通り発表されている。
■全国で平成20年中に起きた山岳遭難の件数
○ 発生件数1631件( 前年対比+147件)
○ 遭難者数1933人( 前年対比+125人)
■うち死者・行方不明者
281人( 前年対比+22 人)
であり、発生件数、遭難者数、死者・行方不明者数ともに、昭和36 年以降、過去最高を示した。
このうち、40歳以上の者( 以下「中高年」という。) は、
○ 遭難者数1567 人( 前年対比+128人)
■うち、死者・行方不明者
256人( 前年対比+19人)であった。
過去10年間の山岳遭難発生状況をみると増加傾向にあり、平成11年と比較すると
○ 発生件数+436 件
○ 遭難者数+489 人
となっており、特に、中高年の遭難者数は409人増加している。
都道府県別山岳遭難発生状況遭難発生件数を都道府県別に見ると
○ 長野県182件
○ 富山県133件
○ 北海道128件
の順であった。
山岳遭難を目的別にみると、登山( ハイキング、スキー登山、沢登り、岩登りを含む)、
山菜・茸取りが多く全体の87.9 %を占めている。また、態様別にみると、道迷い、滑落、転倒が多く全体の71.6%を占めている。
■年齢層別
中高年の遭難者は1567人で全遭難者の81.1%を占めているが、中でも
55歳以上の遭難者が多く、全遭難者の64.0 % を占めている。中高年の登山で
は、体力的に無理のない計画と十分な事前準備に特に配意する必要がある。
■単独登山者
単独登山者の山岳遭難は、死者、負傷者ともに増加した。単独遭難者の死者・行
方不明者は137人で、全単独遭難者の22.9 % を占めているが、複数(2人以上)
登山者における死者・行方不明者の割合( 10.8 % ) と比較すると約2倍と
なっていることから、単独登山は出来るだけ避け、信頼できるリーダーを中心とし
た複数人による登山に努める必要がある。
■遭難件数に占める通信手段
全遭難件数の46.9 % が遭難現場から通信手段( 携帯電話、無線(線を含む。))を使用し、救助を要請している。
今後も、携帯電話による救助要請が増加することが予想されるが、携帯電話は通
話エリア内での万が一の通話手段としては有効であるが、多くの山岳では通話エリアが限られていることから注意が必要である。
未然防止対策
これらの遭難は、わずかな不注意や安易な行動がもとで発生していることから、遭難を未然に防ぐため、登山に当たっては、以下のような点に留意が必要である。
○ 登山計画書の作成、提出
気象条件、装備、食料、体力、体調、登山の経験と山岳の選び方、登山コー
ス、日程等に配意して、余裕のある、安全な登山計画書を作成し提出する。
○ 危険箇所の把握
計画を立てるとき、滑落等の危険箇所を事前によく調べる。
○ 状況の的確な判断
視界不良・体調不良時等には、滑落、道迷い等のおそれがあることから、状
況を的確に判断して早めに登山を中止するよう努める。
○ 滑落・転落防止
滑りにくい登山靴等の着用、ストック等の装備を有効に使用するとともに、
気を緩めることなく常に慎重な行動を心がける。
○ 道迷い防止
地図とコンパスを有効に活用して、常に、自分の位置を確認するよう心掛ける。
もし遭難した場合は?
遭難した場合には、まず的確な状況の把握とできるなら救助の要請が必要である。この際、入山届を提出しておくと救助の要請が早くなる。
山岳地帯では機種にもよるが携帯電話が使えない場合もあり(山の中に基地局はない)、無線機などが使えると良い。
遭難したときは動かない方が良いとされるが、ケースバイケースであり、正確に状況を判断し行動する必要がある。
なお、民間の救助ヘリコプターが出動する事になった場合、かかる費用は30分で50万円が相場。地元の山岳救助隊に捜査を依頼すれば、一人当たり3万円から5万円の日当を出す必要があります。もしもの時の為に山岳保険には入っておくべきでしょう。
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